親が高齢になると、通院や入院など予期しない出費が増えることがあります。その際、親のお金の管理を手伝う必要が生じる場合も多いでしょう。しかし、通帳を預かることやお金を引き出すことには、法律や税金の観点から注意すべき点があります。
この記事では、親のお金を預かる際のポイントと注意点について具体的に解説します。
銀行の代理人カードを作る

親のお金を必要なときに引き出せるようにするためには、銀行で代理人カードを作成するのが便利です。
代理人カードがあれば、親の名義の口座からお金を引き出すことができます。
この手続きには親本人の同意と必要な書類が求められるため、銀行窓口で相談して進めましょう。

金融機関によって、代理人カードの取扱いがない場合や、配偶者のみの作成しか認めない場合、同居の親族しか認めない場合があります。
覚書(預り証)を作成して金銭を預かる
親のお金を預かったり、親から金銭を受け取ったりする場合、それが「贈与」とみなされると贈与税が課される可能性があります。たとえば、年間110万円を超える贈与は税務申告が必要になるため、注意が必要です。
代理人カード以外の場合、親のお金を預かる際には、後々のトラブルの予防や税務署に贈与とみなされないためにも覚書を作成し、専用の口座に預け入れるすることをおすすめします。

以下の手順でお金を預かり、管理してください
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1.金銭預かりの『預り証・覚書』を作成する

『預り証・覚書』は「このように書かなければならない」というルールはありません。
ですが、契約書のような形式で作成しておけば、お金を預ける親も安心できると思います。
契約書のサンプル、雛形などを参考に以下のような内容を記載しましょう。
覚書には以下のような内容を記載します。
- 預かった金額
- 預かったお金は、親の資産であり贈与ではないことに双方が合意していること
- 預かったお金は、親の通院、入院費用、介護費用など、親のために使うこと
- 覚書の日付
- 親と子、両者の署名押印
2通作成し、それぞれに両者が署名押印して一通づつ保管しましょう。
2.子の名義の新規口座を作成する
親のお金を預かる場合、子の名義で新たに口座を作成し、そこに親のお金を預ける方法も検討できます。この方法を用いることで、親の金銭と子自身の金銭を明確に区別し、管理がしやすくなります。
3.領収書・記録を残す
親のお金を管理する際、支出の領収書や記録を残すことは非常に重要です。
これにより、親の財産をどのように使用したかを明確にし、親や他の家族からの疑念を防ぐことができます。また、将来的に税務署からの問い合わせがあった場合にも、記録があることで説明がスムーズになります。
認知症に備える場合は、後見制度・家族信託を検討
認知症などで判断能力が低下した場合に備える方法として、以下の制度を検討すると安心です
- 任意後見契約:親がまだ判断能力を持っているうちに、自分が信頼する人を後見人として指定し、将来的な財産管理や契約手続きを委任する契約です。家庭裁判所が専任する監督人のもと、親の意向に沿ったサポートが可能になります。
- 家族信託:親の財産を信託契約に基づいて管理する仕組みです。柔軟な運用が可能で、将来的なリスクに備えた対策となります。
おわりに
親のお金の管理は、家族間の信頼関係に基づいて行うとともに、法律や税金のルールをしっかり守ることが大切です。トラブルや将来的なリスクを防ぐためにも、適切な手続きや記録の管理を心がけましょう。
また、認知症への備えとして後見制度や家族信託を活用することで、親の財産を安心して管理・保全できます。必要に応じて専門家に相談しながら進めることをおすすめします。